システム開発で思うところ

Javaで主にシステム開発をしながら思うところをツラツラを綴る。主に自分向けのメモ。EE関連の情報が少なく自分自身がそういう情報があったら良いなぁということで他の人の参考になれば幸い

【雑記】銀行の相談窓口

という、ちきりんさんのツイートを見ていて思ったこと。

結論

常設の相談窓口は店舗から無くしてしまって良いと思う*1

どうやって

ざっくりいうと、ネットを活用する。

それぞれ、または組み合わせて

  • ビデオもしくはテキストチャットで相談
  • 予約制を設けて、お互いに会議ルームにログイン
  • 融資審査データの入力による簡易診断
  • 支店にビデオ会議ブースを設けて、相談担当が複数支店を受け持つ
    (対面相談を望んだり直ぐに書類提出ができる支店利用希望者に応える)

なぜ

相談したい利用者の時間に合わせられる

融資を求める利用者は、働き盛りの中年という仮定をした場合、日中の銀行営業時間に合わせるのは難しい。
かといって、銀行も常設で ずっと張り付くのは辛い。
ということで、ネットで予約をして相談時間を確定する、という感じ。

相談時間も30分とか決めて超過した場合は、改めて予約を取り直す。
利用規約として謳っておいて、後は担当者が切断するというよりも システムがタイムキーパーをして ある程度 機械的に ただし 担当者負担が少ないようにするという感じ。

相談窓口の効率が図れる

飛び込み用に複数支店の掛け持ちもできるし、上述の予約を前提として 夕方以降のシフト勤務も出来る。
少なくとも 相談が無い場合は、他の業務をかけもつ(実情は分からないけど、銀行員の雑務量は かなりあるという認識)。

ただし、掛け持ちは仕事をし過ぎる可能性があるので、緊急性のないものなどマネージメントは重要。

ノウハウが蓄積できる

個々の支店、個々の担当者に蓄積されてしまうノウハウが システムを介することでデータ化できる。
コールセンター型であっても、地域性などを考慮して相談に乗ることも出来る。

AI相談で負担も軽減

基本的にネットで相談をするということは、PCかスマートフォンを使った相談であるという前提が成立している。
ということは事前に色々な情報を入力しておいてもらうことが可能。
上述のピークシフトというだけでなく、入力した情報をもって 融資可否の基本判定を行えば、絶対ダメと確実にOKの いずれでもないパターンについてのみ 疑似対面相談をすれば良くなるだろう。

即応性は心地よい

個人的に、以前 とある企業において(銀行ではない)、チャットで質問をできるというのを試してみて、その即応性が非常に心地良かった。
これまでだったら、電話で待たされるところが チャットだと すぐにつながるし、必要な情報のリンクを示してくれるので その場で細かく聞かずとも「いったん、読んでみます。分からなかったら また相談します」ということが簡単にできる。

システム構築は大変?

その他として後述しているのとは別のアプローチは、ProBankプロジェクトのように 地銀基幹系ではなく、地銀情報系としてF社が自社のクラウドを活用してサービスとして立ち上げる(ように、地銀が 持ち掛ける)。

収益

人件費が浮く

掛け持ちできれば、人件費は浮く。
相談時間を集約すれば、担当者の業務稼働率を高く保てる。
また、ぽろぽろと仕事が追加されることも無く 残業が減る。

全てのやり取りをネットのみというよりも、ネットで出来る人は そちらにシフトしてもらうだけでも 随分と負担は分散する。
例えば、ネット予約者を優先するという形でシフトさせるということもあるだろう。

こじれそうな利用者の場合は、ビデオチャットではなく 店舗に来ていただく という風に絞り込むだけでも負担は軽減するし、そういう特殊な利用者には 相応の経験者が始めから応対した方が無難。

震災時にも対応できる

震災時に収益を上げるのか?というところがあるかもしれないけれど、企業だと 事業継続の調整が長引くのは非常に厳しい。
例えば、ネットによる相談基盤が構築されていれば、例えば「相談窓口車」があったり、単純にネットにつながるだけで すぐに返済計画の見直しについて 相談できる。
相談できることによる心理安全は被災時に希望にもなるし、債権者としても 債務者が生存していて 返済可否状況を 早く確認できることは とても大事。

おまけ(?)的なところとしては、人は困った時に助けてくれた人を大事にする。
地銀は 地元企業や個人から 贔屓にしてもらって なんぼ の世界。
対応してくれた銀行への恩義は、多くの場合、その先の長い付き合いにも繋がるだろう。

利用者が増えるかも?

融資相談の敷居が低くなれば、借り手も増えるのでは?という安易な発想。
また返済が厳しいということで、勝手に自己破産されるよりも返済期限を調整して確実に利益を取り続ける仕組みとして相談の敷居が低くて悪いことは無いだろう。

マッチングが出来るかも?

ローン融資を前提としているが企業融資も視野に入れるのであれば、シェアオフィスによる人材交流のようなことをネット上で出来るかもしれない。
銀行側に蓄積された情報を元に顧客と顧客をマッチングする感じ。
相互の都合の良い時間だけを調整すれば良いですし、新しい事業において「カネ」を握る銀行が初めから話に参加しているのは悪い話ではない。
その銀行と取引のある企業同士という縛りはあるけれど、銀行から見て融資相手として認められているという相手同士であるということは それだけでも安心感につながる(利用企業にとって信用調査コストが浮く)。

その他

別に銀行がシステムを構築しなくても良いと思う。
マッチングサービス的な役割として、どこかのシステム開発会社が構築して 利用者の最寄の銀行とマッチングをするプラットフォームを作るイメージ。

「保険の窓口」のような商品説明は一切せず、あくまでマッチングとセキュリティに注力すれば 銀行法の範疇外だと思うので 参入障壁も低いんじゃないかな?

システム会社側の収益については手数料モデルもあるし、広告モデルもあるし、データ活用もある(個人情報に抵触しないレベルで)。
例えば、人材派遣や転職サービスを生業にしている(〇ズリーチ)みたいな、既存で個人情報を管理している会社がシステムを作ったら、銀行からすれば一番神経質になるセキュリティと個人情報の扱いについてノウハウ(先見性)があるということで喜んで使うんじゃないかな?
転職希望者にとっても、転職=収入だし、ひいてはローン返済も気になるところだから、まとめて相談できる(マッチングしてくれる)というのはありがたい話。
銀行側からしたら、出来ないとは思うけど(個人情報のことがあるから)その人の融資審査に 返済可能な人材であるか?みたいな信用調査も期待できるかも。

さいごに

とはいえ、もしローン融資の規模が大きくなったとしても、結局はゼロサムゲームなので銀行自体の数も減るし、銀行員の数についても 減っていくと、個人的には思います。
あくまで、上述の考えは 人が減ったとしてもサービスレベルを維持もしくは上げられますよ、というだけの話なので。
あとは早い者勝ちの世界。

それと、実際の銀行業務を分かって言っているわけではありません。*2

追記

上述のツイートの返信の中に、以下のような返信が。
システム化しているか どうか わかりませんが、サービスとしては すでにやっているみたいです。

私が世間知らずだったようです。


*1:厳密には窓口機能は残して、対人常設は無くす

*2:金融システムの中の人だったことはあるけれど、銀行の中の人だったことは無いです